10,000字インタビュー第3回目(最終回)ということで、今回はCDに収録されている曲たちについて深く掘り下げていきたいと思います。

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(インタビュアー)
1曲目『愛と叫びたいんだ 』について。この曲について、何かエピソードなどありますか?

(神田莉)
そうですね。この曲は去年の夏にリリースした曲なので、ライブのMCやらいろいろなところでしゃべっていることもあって、新しいことを話そうと思うとちょっと難しいんですが、この曲は、愛について考えていって、「そもそも愛とはなんだろう」というとこから考えて発想していった過程がそのまま歌詞になった曲です。
じゃあ、なぜ突然愛について考えたのかというと、その時、愛に飢えていたとかではなく(笑)
自分の場合、曲を作る時に、詞先で考えていくことも関連してて、テーマやタイトルを先に決めてそこから作るパターンや、フレーズが突然ふってきてそこからバーっとできていくようなパターンとかいろいろあるんですが、この曲は、テーマとして「愛を叫ぶ」って曲を作って欲しいという話があって、そこからでてきたものなのです。
で、愛をって言われたけど、愛ってなんだろう?みたいな。 。


愛に飢えていたわけじゃないんですね(笑)

いや、常にみんなに愛されたいんですけど…(笑)

即興曲を聞かせてもらうと、いったいどうやって曲を作っているんだろう?どういう頭の中なんだろうって思っていたのですが
いくつかのパターンがあるんですね? 軽く聞かせてもらえますか?

即興曲は、ふだん曲をつくっている時とはまったく違う脳みその使い方をしている感覚で、むしろ脳は動いてないんじゃないか、みたいな感じなんです。 
あれは、ほんとに考えてなくて、手グセというと誤解があるかもですが自然にでてくるコードを弾きながら思いつくまま歌ってます。 
しゃべっている時に何も考えてないのと同じような感じというか、考えているのはワードの出し方、使い方を考えて、そのあとワードを出す順番だけなんとなく決めて、あとは、流れるまま空気に身をまかせる…というかんじです。
だから奇跡が起きる時もあれば起きない時もある、みたいな。


ちょっと想像がつきませんが、通常の曲づくりは違うのですね。

そうですね。
タイトルから定めるパターンの代表曲としては、さっき話していた『愛と叫びたいんだ』だったり、アルバムからは『ストリームライン』、そのほかだと『Wonderful World~こんな僕にも彼女ができました~』『大きくて小さい世界』『花びらの波』あたりですかね。
そのままでなかったりしますが、タイトル案からできた曲たちです。
私はタイトルをつけるのが実はすごい苦手なんですが、それが最初に決まっていると他の曲たちとちょっと違う曲ができることもあって、面白い制作パターンです。


なるほど。

テーマがあるパターンの曲だと、CM曲とか仕事きっかけで生まれたものなんかもあってたくさんあるのですが、『小さな怪獣へ』『I'm home』『見上げた君に願うこと』 。
架空の物語やお話、映画などをみて作った曲として、『さいごに』『ゆりかご』。
ちょっと違うのかもですが、好きな人の名前を呼ぶ時って幸せになりますよねって会話から生まれた、『希望的観測』は、曲も成り立ちも気に入ってる曲です。


いろんなパターンがあるのですね。先ほど言っていたフレーズが突然ふってくるパターンも気になります。

ふってくるやつは、道を歩いている時とか、お風呂で鼻歌を歌っている時とかに突然やってきます。
だからメモ帳とかにメモするんですが、大概はあとでみると、なんだこりゃパターンの失敗作なんですが、その中からたまに、これだって思うようなものが発掘されます。
『走れハリネズミ』は、突然「走れ宇宙にハリネズミ」ってフレーズがふってきて、そこから作りました。
あとは『×(バツ)』。サビの「×ばっかりの自分に今日は小さな○をあげよう」っていうのが突然でてきました。


『走れハリネズミ』と『×』。名曲が多いですね!

あざす!(笑)
でも、実はこのメモ帳から生まれた曲たちは、なかなかボツも多かったり、FC曲になったり、まだまだたくさん眠ってます。
そのほかだと、『スーパーカー』『かりん』なんかもこのパターンですね。
自分の曲作りでは一番日々やっていることではあるのでメインにならなくても(ここから曲そのものが生まれなくても)、歌詞の一部に吸い込まれるパターン(どこかの曲の歌詞の一部になる)があるかもです。
ライブでこういう曲が欲しいって思って作ったパターンだと『FULL-DRIVE』『ストリームライン』だったり、あといわゆる、正攻法でこういう曲を書きたいというところから、悩みながら作っていった曲たちもあります。『ん。』『バンビ』『MOONSHOT』はそう。
『それだけのこと』『めぐり』『スポットライト』もそうだし、あと、『ハリネズミの針路』。これはまさにそういう曲ですね。


面白いですね。

CDも今回で10枚。かれこれ10年ぐらい曲を書いているので…いろんな方法を駆使してます。
そもそも最初が校歌からはじまるという特殊ケースなので。


曲からは作らないのですか?曲を先に作って詞をつける。

曲からは…ない。うえー。…ないですね。ないはずです。
曲を別の人が作ってできているのに詞をつけるパターンはありますね。『僕と君のストーリー』『TOKYO/OSAKA』とか。
自分一人で曲から作ることはないですね。


珍しいですよね。いつかチャレンジしてみるとまた別のものが生まれるかもしれないですね。

生まれるかな…。生まれるかも!いつかやってみようかな。


続いて2曲目は、表題曲 『ハリネズミの針路』ですね。これは第1回でいろいろ話を伺いましたが。

そうですね。 さっきも話した通り、こういう曲を書きたい、こういう想いを残したいという気持ちから作った正攻法のやつです。
フィクションではなく、ノンフィクションという感じでしょうか。


この曲の想いは、第1回で深く伺えたので、ではこの曲はどんな人にどんな風に聞いてもらいたいでしょうか?

その質問とはちょっと違うかもしれないんですが、高校の入学式で、「夢を夢として持ち続けていないと夢は叶わない」といったような感じの話を聞いて、なんというか、そういうことなんだと思ってるんです。
だからと言って人に対して夢を諦めないで頑張って欲しいということをいうのは、自分の立場からではおこがましい気もするんですけど…この曲で、希望を持って、がんばってとかそういうことじゃないんですよ。
人それぞれの自分の解釈や思いで、感じ取ってくれれば良いのかなと思ってます。
つまり、こういう風に聞いて欲しいというのはないんですよね。


ハミーさんの悲しいできごととか、これを聞いてがんばってとかそういう意図がある曲ではないということですか?

そうですね。何も考えず、ふつうに聞いてくれたらいいです。この曲は自分にとっては決意表明の曲なので。


それでは3曲目『ストリームライン』。こちらは一転、ライブ感あふれるバンドサウンドですね。

この曲は、前作『ACCELERATOR』からの流れで、加速というキーワードを引き継いで、さらに加速できそうな形として流線型っていうのをテーマに作った曲です。
去年の対バンツアーで、実際にバンドと対バンしてみて、やっぱり全然違うなって思ったんですよ。
聴いてもらうだけじゃなくて、アーティストとお客さんが一緒になって楽しんでる姿がなんかかっこいいなって。それを見て、自分ももっと良いライブをして、お客さんと楽しみたいって思って。


聞くところによるとドラムとのduo編成や、ヴァイオリン、ドラムとのトリオ編成などでもライブしたのですよね?ちょっと想像つかないですが、今後もやる予定ですか?見に行ってみたいです。

そうですね。ぜひ、またやりたいです。 弾き語りツアーががっつりあるので、タイミング次第になってきそうですが、あの感覚を忘れないためにもコンスタントにやりたいです。


楽しみです。

そういえば、まだ話してない内容として、『ストリームライン』は『×』と繋がってるところがあって。
『×』では「いっそやめちゃおうかな」と歌うんですけど、『ストリームライン』では「やめちゃおうかと泣いた夜も光るから」と歌っているんです。


おお。それは面白いですね。

ダメだった自分が今は前を向けている。そんな思いが込められてます。


4曲目は『めぐり』です。この曲に関してはどうでしょうか。

この曲の面白そうな話といえば、タイトルが初期案では『もしも』だったということですかね。


『めぐり』じゃなかったんですね。

自分の曲にはよくあることなんですが、初期案からタイトルが変わるやつです。

他にもあるってことですか?

ファンの方には有名?なものとしては『boyfirend?』という曲で、初期案は『そうなりたい』でした。
『MOONSHOT』『FULL-DRIVE』そして『めぐり』。
さっきの分類の中で正攻法で書いたやつは、タイトルが変わる傾向にあることにさっき気づきました。


気になりますね。『MOONSHOT』と『FULL-DRIVE』も。

ぜったい、に言わないです!
こういうのいうと、ファンの方が物販とかで心無いいじりで、あれなんなんですか?って聞いてくるんですけど、そういう人は、神田の嫌なやつリストにのっちゃうかもしれないです(笑)


(笑)。

でも、タイトルが変わったというと今となっては不思議な感じで、ツアーのタイトルが『めぐり』になったり、ファンや関係者やら自分も含め、「めぐり」、「めぐらせる」みたいなのがテーマというか共通言語みたいになってきているので、変えてよかったな、『めぐり』というタイトルを思いついてよかったなって思ってます。 


さきほどの制作パターンからすると『めぐり』は正攻法ということですがどういう感じで生まれましたか?

この曲については、いろんなところで話してきたのですが、ちょっと違った角度から話をすると、お世話になった人の結婚式で歌う、というミッションがあるタイミングだったのでそこで歌う曲を書き下ろしたいなという気持ちがありました。
それと平行して、活動していく中で、いろんな出会いやらタイミングがあって、あの人に出会ったからこうなったとか、偶然の繋がりで始まったことなんかもたくさんあって、そういったものは奇跡だなと思うところも多々あったのでそれをどうにか曲に、歌詞にしたいなってタイミングだったので、そのあたりをミックスして考えたと思います。

もしも2人が出会ってなかったら、という切り口から考えて、「いや、結婚式で歌うのに…(笑)」と思ったり、 『もしも』だけだと悲しいストーリーに落ち込みそうだったので、歌詞の中にあっためぐりという言葉を引き出してタイトルになりました。


5曲目『小さな怪獣へ』はどうですか?

この曲は、いろんな初めてがあって、それをうまく自分的に織り込めたこともあってお気に入りの曲です。


初めてのこと?

まず、歌詞がはじめての共作になりました。
もともとは『母の半分』というWEB CMのために作った曲で、歌詞に原文のようなものがあって、広告代理店のコピーライターの方なんですが、ワンコーラスだけ、その方との共作になります。
  
あとは、タイアップというのかな、『母の半分』ってCMは1ヶ月ちょっとで180万回も再生されて、いろんなところから「これ神田さんでしょ?」「神田さんに似てるね」みたいに言ってもらえたり、ちょっと変わった体験でした。


初タイアップ?

今までも仕事の中から生まれたのは何曲かあるんですけど、ちょっと違うというか、曲自体が先に世間に触れたかなと。

なるほど。

あとは、初めてアレンジが中村タイチさんではなく、山森大輔さんという方になりました。
『めぐり』を書いていたときからアドバイスをいただいたりしていたご縁でお願いしたのですが、もとのアレンジの空気がふわーっと広がっていくみたいに、可愛らしさ、かっこよさ、お茶目さがところどころに散りばめられたアレンジにしてもらいました!
私のお母さんってそういうイメージだから、ぴったりです。


6曲目『それだけのこと』は、どんな経緯で作ったのですか?

これは新曲ですなあ。全部新曲ではあるのですけど。
  
今回のアルバム、っていうか、去年、『愛と叫びたいんだ』、『めぐり』と愛についての曲を書いていて、その中で、愛についていろいろ考えたりする中で、「愛と恋は違う」みたいな話がちょくちょく話題にでてきてたんですけど、でもやっぱり恋愛だって愛の一部なんじゃないかなって思って。そうしたら、なんだかとても恋についての曲を書きたくなって、ブリッツワンマン後から考えはじめて、年末ギリギリに書き上がりました。

レコーディングは歴戦のツワモノ(笑)、ドラムをあらきゆうこさん、ベースを種子田健さんにお願いして、いっせーのせでボーカルをレコーディングしたんです。なので採用されているボーカルデータは一発録りです。
レコーディングやライブではもうなかなかお世話になってきていますが、お二人の顔をしっかり見ながら歌うのって実は2016年のトリオ編成ライブぶりだったので、すっごくテンション上がっちゃって。楽しかったな。
さらっと聴くとなんてことないかもしれないんですけど、この曲はキメがキモなんです。ライブではだいぶ集中して演奏してるのでそのあたりも注目ポイントです。


最後、7曲目は『スポットライト』ですね。自分この曲とても好きです。

ありがとうございます。 
この曲は、2回目のブリッツのアンコールで弾き語りで歌ったのが初披露で、そのあと全く歌わず、3回目のブリッツでバンドアレンジして2回目を歌いました。


何か大事にしている感が伝わりますね。

大事にしているというか、歌うべき場所が限られているというか、なんかそういう感じの曲なんです。
そういう曲は他にも何曲かあって、聞きたい人は、ぜひ神田の大小いろんなライブへ足を運んでください。(笑)


(笑)せっかくなので、他の曲だと?

んー、『I sing (ツアーの曲)』、『ありがとうって言いたいよ(思い出の曲)』、『Have a good one』とか
その時の思いが強すぎて別の場所で歌うとなんか違うなって思っちゃうんです。
『スポットライト』も、そういう思い出、景色の強い曲です。


この曲は歌詞がいろいろ面白いので、ぜひ解説してもらいたいです。

端的にいうと、「お客さんからの愛によって私は今ステージに立っているよ」「立たせてもらっているよ」という曲なんですが、たくさんいるアーティストの中から、自分を見つけてくれたり、こうやってライブに足を運んでくれたり、応援してくれたりというのが、本当に奇跡のようなことだなと思って、きれいな気持ちだけで書いた曲じゃないけど、そういう想いを綴った曲です。

ある有名な巨匠アーティストが言っていたという話をスタッフから聞いて、なるほどなと思って、それを自分なりに解釈しながら作りました。


あるアーティスト?

それは、言えないんですが、エピソードとしては、「小さなライブでも大きなライブでも、お客さんひとりひとりと、アーティストの関係は一対一で、その集合体が大きなライブになっている」という話で、ひとりひとりのためにライブをし、丁寧にやっていくことが大きなライブにつながるんだ、という話でした。


良いお話ですね。

とても集客に悩んでいる時期でもあったから、当たり前のことかもしれないけど、少し考え方が変わりました。


歌詞を読んでも思いますがとても素敵な歌詞ですよね。 

もう、想いをそのまま、書いた曲なんです。

昨年の赤坂BLITZワンマンライブのアンコールではお客さんにスマホのライトで照らしてもらうという演出をしたのですが、
その向こう側で負けないくらいキラキラした目でじっとこっちを見ながら聴いてくれてるんですよね。私はその目線に照らしてもらっていて、
いろんな偶然が重なり合って生まれた奇跡みたいな時間があってやっと歌えているんだな、ありがたいなって。
あの景色は一生忘れることはできないかもってぐらい最高の瞬間でした。


最後にアルバム全体について、どんなアルバムですか?

このアルバムは全体を通して、愛を歌ってます。
愛って一生の間で数え切れないくらい形を変えていくんだと思うんですよ。そんな愛を、今の自分に映る形で書き出せたんじゃないかと思ってます。
何かしらのタイミングでピタっとはまる曲があると思うので、長く聴き続けて欲しいなと。
いろいろ話をしてしまったけどそれにとらわれずに、好きなように好きなことを感じてきいてもらえれば嬉しいです。


たくさんのエピソードありがとうございました。珠玉の7曲がつまったアルバム、発売が楽しみです。

最近、「神田は10代の頃の方が怖いものなしだったよね」なんて話をしていたんですけど。
大人と言われる年齢になって、時間が進めば進むほど、自分が夢に対して臆病になっていたことを改めて実感したんです。
5周年で、これからツアーも始まって、その先にはZepp DiverCityワンマンがあって。このアルバムはその夢、そして先まで続いていく針路への切符になる大事な作品になったので、ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいなと思います!

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神田莉緒香 5周年、10枚目のCD、10番目のKANDAFUL WORLD、過去最大にして特大大挑戦。

KANDAFUL WORLD Vol.10

日程:2019年3月26日(火)
会場:Zepp ダイバーシティ東京
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:SS 5000yen / S 4000yen / A 2500yen
チケット発売:
・FC先行: 4/30~5/14
・プレイガイド先行:5/18 18:00~ 6/20まで先着順
詳細はこちらから
・一般発売 6/27 12:00

主催:SOGO TOKYO
企画・制作:ストロボミュージック / bluesofa / SOGO TOKYO